パ・ド・ドゥの難易度

パ・ド・ドゥとは、バレエ作品において男女2人の踊り手によって展開される踊りをいう。多くはバレエの中の最大の見せ場となっている。同性2人による踊りは「デュエット」といい、パ・ド・ドゥとは区別される。概して東洋の舞踊は女性が一人で踊るものが多いのに対し、男女が一緒に踊るパ・ド・ドゥは西洋に特有のもので、西洋における「愛」を象徴するものだとの見方がある。


【パ・ド・ドゥの歴史】


ロマンティック・バレエが発達する19世紀にパ・ド・ドゥの内容も進化した。ポワントの技術が確立され、また衣裳が厚手から薄手となり踊り手の体型が露出されるようになると、男性にバレリーナが支えられるアラベスク、男性がバレリーナを持ち上げるリフト(アンレヴマン)などが取り入れられるようになった。
パ・ド・ドゥを完全に定式化したのはマリウス・プティパ(1818 - 1910)である。ピルエット(回転)、宙で支えるポーズ、高く持ち上げるハイ・リフトを導入し、『くるみ割り人形』(1892)や『白鳥の湖』(1895)に組み入れて人気を博した。
20世紀になるとフォーキン、バランシンらの振付で、一層激しい動きをするパ・ド・ドゥが生み出されている。


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【パ・ド・ドゥの難易度】


アラベスクなどのポーズをキープするのにも女性がしっかりと軸を持っていなければ、男性は支えるだけのはずが元の美しく見える位置まで戻してあげなければならない為、必要以上の力を使うことになってしまいます。パ・ド・ドゥは女性を美しく見せるようにする男性も大変ですが、女性も男性任せではなく、自分でしっかり軸を持てる、高い技術が必要なのです。その為、ポワントを履いて何年か踊ってきた方ではないと難易度はとても高いです。


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最後のコーダでは男女がそれぞれ難易度の高い技術を披露し、派手に終わる。「白鳥の湖」の中にある「黒鳥のパ・ド・ドゥ」や「ドン・キホーテ」のパ・ド・ドゥなどのコーダでは、女性が32回フェッテ(片足を軸に、もう一方の足を蹴り上げながら連続回転する)を見せます。
又、衣装を身に着けると回転技の際に遠心力がはたらいたり、男性側も衣装をつぶさないように綺麗に見せなければならない為、より難易度は上がります。


パ・ド・ドゥとは男女が一緒に踊るものです。呼吸を合わせ、心を通わせ、お互いを気遣えてこそ、美しいパ・ド・ドゥが魅せられるのではないでしょうか?