映画館で上映?「冬物語」とは|バレエ教室NOA

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今回はシェイクスピア作の喜劇、「冬物語」についてです。
英国のロイヤル・バレエ団が映画館で上映したこと、またプリンシパルを
日本人の平野亮一さんが務めたことも話題になっています。
それでは冬物語とはどうゆう作品かご紹介していきましょう。


■ バレエ「冬物語」とは


『冬物語』(ふゆものがたり、The Winter's Tale)は、ウィリアム・シェイクスピアの喜劇で、ロマンス劇です。1610年に完成しました。


■ バレエ「冬物語」のあらすじ


(1) 第1幕


シチリア王レオンティーズとボヘミア王ポリクシニーズ(平野亮一)は、
幼少期、一緒に養育を受けた親友同士。
シチリア滞在を9か月にも延ばしてしまったポリクシニーズが、
明日こそは帰国すると言うので、レオンティーズが引き留める。
「お前も何か言ってくれ」と促されて妃のハーマイオニ(クレアカルバート)も説得に乗り出し、
逗留の延期を引き出そうとする。
どうしても無理だと言うポリクシニーズに「それでは客人としてではなく、囚人として留まって」もらうしかなくなってしまうが、それでもいいかとハーマイオニ。
ついにあきらめたポリクシニーズ、ではあなたの客として、お妃様。
あなたの囚人になるのはあなたに対して罪を犯したということだ。
そんなことは私には到底できません。
そこから二人の幼少期に話題が移り、罪のない子供にもやがて(女性という)
「誘惑」が...というような話になったところで、レオンティーズが「どうだ、落とせたか」と声をかけ、「居てくださるわ、あなた」
とハーマイオニ。
二人の話しぶりを見て「熱すぎる、熱すぎる! 行き過ぎた友情の交わり」
は「血の交わり」(性交の意)ともなる!
と心を乱したレオンティーズは、一人息子のマミリアスにも疑いの目を向け、
「お前は俺の子か?」としつこく尋ねる。
ポリクシニーズと妻がむつまじく「腕までからませて」退場していくのを見ては、姦通は「間違いない」と確信する。
レオンティーズは忠臣カミローを呼んで、この嫌疑をぶちまけ、ポリクシニーズを毒殺せよと命じる。
カミローはポリクシニーズにこの命令について密告し、夜のうちに逃亡するよう手引きする。


(2) 第2幕


身重のハーマイオニと王子マミリアスに、侍女を加えての団らん。
「楽しい」お話をしてと母に頼まれた王子が「冬には恐い話がいい」と
「妖精や鬼の出て来るお話」を始める。
ポリクシニーズの逃亡とカミローの裏切りに激怒したレオンティーズは、ハーマイオニを王子から引き離し、妃を投獄。
本人の弁明にも、貴族アンティゴナスの
意見にも耳を貸さない。
アンティゴナスの妻ポーライナが牢獄に妃を訪問すると、侍女のエミリアが出てきて、可愛い女児を出産したと告げる。
「王様の狂気の発作」をいさめる役を自分が買って出るというポーライナに妃も同じことを考えていたとエミリア。
ポーライナは赤ん坊を抱き、夫やほかの貴族とともに王に謁見して意見するも、レオンティーズ王はこの「男勝りの魔女」を叩き出せと激怒。
「そのガキは俺の子ではない。ポリクシニーズの子」で「私生児」だ、
火あぶりの手配をしろと命じる。
が、アンティゴナスの懸命の嘆願で考えを変え、「生きるも死ぬも運次第というよその国のどこかへ捨ててこい」と命じたので、アンティゴナスは「誓ってやり遂げます」と赤ん坊を抱いて出て行く。


(3) 第3幕 


シチリアの法廷。
姦通を事実と疑わないレオンティーズに、ハーマイオニは「命など藁(わら)しべほどにも思わないが、私の名誉は、何としても潔白の証(あかし)を立てたい」と弁明する。
そこへ、アポロの神託を受けにデルフォイに派遣されていた臣下のクレオミニーズとダイオンが帰国・到着し、神託の封を切って読み上げる。
「ハーマイオニは貞淑なり」と始まって、ポリクシニーズもカミローも潔白であり、レオンティーズは失われた真の子が見いだされぬ限り世継ぎを得ない...云々。
「でたらめだ」とレオンティーズが叫ぶと従者が登場し、マミリアス王子が「お妃様のことをご案じになるあまり」死んだと告げる。
ハーマイオニは気を失って倒れ、ポーライナらが彼女を運び出す。
ようやく自らの誤りに気づいたレオンティーズがポリクシニーズとの
和解やカミローへの感謝を口にしているところへ、ポーライナが登場。
レオンティーズに面と向かい「馬鹿で不実で呪うべき恩知らず」等々、
さんざん非難したあとで、お妃様が「お亡くなりになったのです」と告げる。
打ちひしがれたレオンティーズは二人を一つ墓に納め、自分はこれから「そこで涙を流すのを唯一の慰めにし、生まれ変わろう」と口にする。
ところ変わってボヘミアの海辺。
アンティゴナスが赤ん坊を抱いて登場し、道案内の水夫と別れると、自分の夢にハーマイオニが現れたことを赤ん坊に語りかける。
ボヘミアの人里はなれた場所にその子を捨て、「失われた者」という意味で「パーディタ」と名づけるようにとお妃は言われたのだと。
出生を記した手紙と金貨・宝石の類とともに赤ん坊を置いたアンティゴナスは、折しも現れた熊に追われて退場。

やがて登場した羊飼いと道化によって赤ん坊と金品は持ち去られる。


■ 英国ロイヤル・バレエ団の「冬物語」


2014年に英国ロイヤル・バレエで初演された、クリストファー・ウィールドン振付『冬物語』。シェイクスピア原作の3幕から成る物語バレエです。英国ロイヤル・バレエにおいてイギリス人振付家によるシェイクスピア劇のバレエ化は、1965年制作のケネス・マクミランの『ロミオとジュリエット』以来約半世紀ぶりです。しかも2014年はシェイクスピア生誕450周年だったこともあり、公演は大成功を収めました。ウィールドンにとって英国ロイヤル・バレエのための全幕バレエの振付作品は、2011年『不思議の国のアリス』以来で、『アリス〜』のスタッフが再び集まりました。


 この作品が、2018年2月13日から3月21日まで再演され、主役のシチリア王に平野亮一、そのほか金子扶生、高田茜ら日本人ダンサーもキャスティングされており、関心が高まっていた。ライブビューイングされる公演日は初演時のキャストでしたが、シチリア王のエドワード・ワトソンが怪我で降板したため、平野亮一が出演し、平野のパフォーマンスを見ることができることとなりました。スティーヴン・マックレー演じるフロリゼル王子もライブビューイングの公演日は怪我で降板したため、ワディム・ムンタギロフが登場します。


 平野演じるシチリア王の嫉妬から物語は展開していく。その嫉妬ぶりは尋常ではない。王のプライドを誇示しつつ、王妃(ローレン・カスバートソン)と友人であるボヘミア王(マシュー・ボール)の仲を疑い、嫉妬に狂う様は鬼気迫る。彼らはそれぞれ役作りを徹底的にしており、ウィールドンも思い切り踊らせているので見どころは尽きない。第2幕のボヘミアの村ではその前後の宮廷でのクラシック・バレエの踊りとは異なる素朴でフォークロアな踊りが楽しめる。また舞台上にミュージシャンが村の音楽家として登場し演奏するという臨場感も楽しい。


-終わりに


いかがでしたでしょうか。
喜劇と悲劇の融合作品で、ここまで調和のとれた作品はなかなかありません。
「見に行きたいけどなかなか見に行く時間がない」
そんな方は、DVDでも販売しているので、ぜひ一度鑑賞、観劇してみてはいかがでしょうか。