原作とは違う?バレエ作品「不思議の国のアリス」とは|NOAバレエスクール

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-はじめに


皆さんは、バレエ作品というと何を思い浮かべますか?
代表的な「くるみ割り人形」や「白鳥の湖」、「眠れる森の美女」などは、皆さんも一度は見たことがあるかもしれません。これらの作品は、しなやかで美しい動きやバレエらしいダイナミックな踊りを通して役になりきり、全身を使って喜びや悲しみ、憎しみなどを表現します。
今回ご紹介するのは「不思議の国のアリス」のバレエ版。
他の作品とは一味違ったカラフルでコミカルな世界観のバレエを楽しめる舞台です!


■ バレエ版「不思議の国のアリス」とは


英国を代表する作家ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」の原作をモデルとして、名だたる振付師や作曲家によって手掛けられた舞台で、英国ロイヤルバレエで初演されました。
他のバレエ作品とは一味違うポップな美術・音楽と最先端の照明や射影技術が話題を呼び、大ヒットしました。
これまでに、世界有数のカンパニーがレパートリー化してきましたが、日本では2018年に唯一上映を許可された新国立劇場バレエ団が初上映を飾りました。
2020年の6月に再演が予定されていたのですが、新型感染症の影響で公演中止に。満を持して2022年、新国立劇場バレエ団による「不思議の国のアリス」再演が予定されています。


■ 原作とはちょっと違う「不思議の国のアリス」のあらすじ


ある日、イギリスにあるアリス一家でガーデンパーティーが催された。
アリスは恋する庭師のジャックにジャムタルトをプレゼントするが、それを盗んだものだと勘違いした厳しい母は激怒してジャックをクビにしてしまう。一家の友人であるキャロルが悲しむアリスを元気づけようとしたところ、突然白うさぎに変身!
彼を追いかけて深い穴に落ちていったアリスは、母親にそっくりなハートの女王が支配する不思議な世界に辿り着いた。
ハートの騎士の格好をしたジャックはここでも女王のジャムタルトを盗んだ罪で処刑されそうになっていた。そんな姿を見たアリスはジャックを救おうと奮闘して冒険を始める。
アリスは「Drink me」と書かれた瓶や「Eat me」と書かれたケーキのせいで体が大きくなったり小さくなったり。そうして白うさぎに誘われて不思議の国のさらに奥深くへと迷い込んでいく。魚と蛙の従僕がいる公爵夫人の不気味な家、怪しげな笑みを浮かべて姿を消すチェシャ猫、マッドハッターや三月うさぎ、眠りネズミが集うお茶会、たくさんの不思議なものたちに出会ったアリスは、魔法の花園でやっとジャックと再会を果たす。
そんな喜びもつかの間、目の前にハートの女王が現れて一同は女王の庭園へ。フラミンゴとハリネズミを使ったクロケーの試合中に再びジャックが捕らわれてしまい、とうとう彼の裁判が始まってしまう。


■ コミカルさが魅力「不思議の国のアリス」登場人物


*アリス...物語の主人公。不思議な国に迷い込み、恋する庭師のジャックを救うために冒険を始める。


*ジャック...アリス一家のガーデンの手入れをする庭師で、アリスと惹かれ合っている。ある日女王の怒りを買ってクビになってしまう。ハートの国でもタルト泥棒の疑いをかけられてしまう。


*白うさぎ...いつも時計を見て急いでいる。アリスを不思議の国へと誘い出す。


*ハートの女王...アリスが迷い込んだハートの国を支配する女王。意地悪な性格で怒りっぽく、いつもみんなに恐れられている。


*マッドハッター...いつも風変わりなお茶会を開いている狂った帽子屋。白うさぎを追いかけて通りかかったアリスをお茶会に誘う。


■ アリスの衣装や音楽は?


バレエ版「不思議の国のアリス」は衣装や音楽にもこだわっていて、ダンサーの踊り以外の部分にも見どころがあります。
まずは、着用されている色とりどりの衣装をご紹介します。


*アリス...アリスというと、水色のワンピースに白いエプロンのイメージが強いのではないでしょうか?ところが、バレエ版では淡い紫のワンピース型のチュチュを着用しています。スカート部分はロマンティックチュチュよりも短く、軽めの生地になっており、頭には衣装と同じ色のカチューシャを着けています。


*ジャック...作中ではハートの騎士の姿が印象的です。赤いタイツに赤いシューズ、ベストは半分が赤でもう半分が白、左胸にはハートのマークが着いていて、コミカルさのある可愛らしい衣装です。


*白うさぎ...真っ白なベストに真っ白なジャケット、赤い眼鏡とぴんと立った耳が特徴的です。


*ハートの女王...胸元がハート型になった真っ赤なチュチュで、髪型もあの原作の真っ赤なパーマヘアーを再現しています。頭の上には背の高い赤色のティアラが乗っています。


*マッドハッター...大きなグリーンのトップハットにピンクのロングジャケット、大きな蝶ネクタイ、カラフルなストライプのパンツといった派手な格好が印象的です。「いかれた帽子屋」と呼ばれるだけあり、衣装もとても面白みがあります。


次は、使用されている音楽についてご紹介します。


*指揮 カール・デイヴィス
*管楽器 プラハ・フィルハーモニー管楽器団
*作曲 ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
*編曲 カール・デイヴィス


カール・デイヴィスによる「不思議の国のアリス」は、イングリッシュ・ナショナル・バレエの監督であるデクレ・ディーンの依頼によって作られた作品で、「眠れる森の美女」や「テンペスト」、「四季」などの様々な曲をアレンジして組み立てられています。
1曲目の「Over ture」から始まり、「The White Rabbit」「The Queen of Hearts」「Alice Tired」「Trial Fanfare」「The River Bank」など、全35曲で編成されています。


-終わりに


いかがでしたか?バレエ版「不思議の国のアリス」はこんなポップでコミカルな世界観で、バレエをあまり知らない方にもミュージカル感覚で楽しんでいただけるのではないでしょうか?
過去には東京や名古屋でも上演されたことがあるようですが、冒頭でもお話したように、2022年6月にも東京の新国立劇場オペラパレスでの再演が予定されています。前売りチケットの発売は2022年4月下旬ごろから始まり、新国立劇場バレエ「不思議の国のアリス」のHPから購入方法が確認できるようになっています。
豪華キャストがお送りする「不思議の国のアリス」、皆さんもぜひ一度劇場でご覧ください