「バレエ『コッペリア』の魅力と見どころ解説:人形にまつわる愛とユーモアの物語」

2024.12.17

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◼︎はじめに

肌寒い時期になってきましたね。気温差の激しい日もあるのでみなさん体調崩さないように心掛けていきましょう!そんな今回はコッペリアについて見ていきたいと思います。


◼︎バレエ「コッペリア」とは?物語のあらすじと背景

19世紀ポーランドの村を舞台に偏屈な博士(コッペリウス)が作った人形をめぐって起こる騒動の物語です。スワルニダとフランツは恋人同士になりますが、博士の不思議な研究に好奇心がいっぱいです。人形であるコッペリアに恋をしてしまったフランツはスワルニダとどうなってしまうのでしょうか。コッペリウスの魔術に翻弄されながらも戦う2人に注目です。


◼︎主役スワニルダとフランツ:キャラクターの特徴と演技のポイント

(1)スワニルダの役。フランツの恋人

・明るき元気な村娘。気が強く、好奇心がいっぱい。


(2)フランツのキャラクター

・村の青年。スワルニダの恋人。


(3)その他登場人物とその役割

・コッペリウス:からくり人形職人
・コッペリア:コッペリウスが作り上げたからくり人形


◼︎ バレエ『コッペリア』の名シーン解説:第1幕から第3幕までの見どころ

(1)第1幕

村の青年フランツと村娘スワルニダは恋人同士になりますが、コッペリウス博士の家の窓辺にいたからくり人形のコッペリアにフランツは恋をしてしまいます。怒ったスワルニダとフランツは喧嘩をしてしまいました。ある日コッペリウスがいえの鍵を落としてしまい、それを拾ったスワルニダと友人たちが家に入ります。
 

バレエでは冒頭でスワルニダのヴァリエーションで始まります。コンクールでもとても人気の踊りで、1曲の中に踊りと演技が入ってるのも特徴です。また村の人々によって踊られるマズルカも明るく盛り上がるシーンです。バレエシューズやトゥーシューズではなく、女性も男性もブーツを履いて踊ります。


(2)第2幕

家に入るとコッペリアが人形ということに気づきます。帰ってきたコッペリウスに見つかった友人たちは外に追い出されましたがスワルニダは身を潜めました。そこにフランツもやってきて来ましたが、すぐにコッペリウスに捕まってしまいます。ワインを飲まされ酔って眠らされてしまったフランツは魂を抜かれコッペリアに吹き込まれそうになりましたが、潜んでいたスワルニダがコッペリアになりすましフランツを助けます。


バレエではスワルニダがコッペリアになりすますシーンが見どころになります。音楽に合わせてカクカクと手足を動かしたり、目をぱちぱちさせたりします。ダンサーはなるべくまばたきせず、首や肩を硬直させるなど、通常のバレエの姿勢とは違ったシーンになります。


(3)第3幕

スワルニダとフランツはめでたく結婚し祝宴していると激怒したコッペリウスが怒鳴り込んできましたが、村長の仲介の元スワルニダとフランツは謝り、許しを得て最後は様々なテーマのもと踊りが繰り広げられ幕が閉じます。


バレエではディヴェルティスマンが続きます。ディヴェルティスマンとは物語の本筋には関係ない饗宴的な踊りのことをいいます。人生をたどる踊りの数々が披露されますが、中でもスワルニダが踊る「平和」のパ・ド・ドゥが有名です。バイオリンの音色に乗せてスワルニダとフランツがゆっくり幸せそうに踊ります。


◼︎ 『コッペリア』の演出と衣装デザインの特徴

見どころと言えば作中のコミカルな演出になります。他の作品にはない笑ってしまう演出が多くあります。バレエ団や版によっても演出方法が異なるので是非見てみてください。また第2幕にはコッペリウスが作ったからくり人形たちの踊りも見どころになります。中国、スペイン、スコットランド、騎士、フランス、道化といった個性豊かな人形が民族舞踊をモチーフにそれぞれ踊っています。いかに人形っぽく踊れるかも見どころですね。


スワルニダの衣装はバリエーションが豊富で、スワルニダらしい可愛いさをイメージされているため白やクリーム、薄ピンクが主に使用され、花柄を取り入れられることが多いです。


◼︎世界で愛される『コッペリア』:名バレエ団の演出と解釈の違い

コッペリアでは演出家による違いが大きくみられる作品です。初演のサン=レオン版を始め、マリウス・プティパ版、ローラン・プティ版、ピーター・ライト版とあります。作曲家はフランスの作曲家「レオ・ドリーブ」でバレエのコッペリアの為に作曲されたそうです。


◼︎最後に

コッペリアについてどうだったでしょうか。恋人同士のスワルニダとフランツですが、フランツの浮気から始まり進んでいく中々珍しい始まりの物語になっています。コッペリウスが作ったからくり人形がそれほど魅力的で人間味があったことも同時にわかりますね!


コッペリアが初演された1870年代を最後にフランスのロマンティック・バレエは衰退し、バレエの中心はロシアへと移っていきます。そのため、バレエのコッペリアは最後のロマンティック・バレエと言われています。フランスに代わりバレエの中心となったロシアではその後、クラシックバレエが誕生日したそうです!