-はじめに
バレエの発表会と聞いてドンキホーテが思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。バレエに詳しくない人でも聞いたことがあったり、耳なじみがある言葉に感じられると思います。ドンキホーテは古典に分類されますが古典の中でも読みやすく、挿絵があることでより想像しやすい内容にしてくれています。今回初めて知った人もバレエのドンキホーテの魅力を覗いてみてください!!まずドンキホーテとはラ・マンチャ地方を舞台にした小説になります。スペインの作家ミゲル・デ・セルバンテスによって書かれた大作で、騎士道本に心酔した下級貴族の主人公が自ら伝説の騎士と思いこみ、「ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ」と名乗って、瘦せこけたロバのロシナンテにまたがりドゥルシネア姫という空想上の思い姫の面影をいだき、従者サンチョ・パンサを引き連れ遍歴の旅に出かける物語になります。
■ドンキホーテのあらすじ
バルセロナの街についたドンキホーテは宿屋の看板娘のキトリと出会いました。そのキトリはバジルという貧しい床屋の息子の恋人がいましたが、父親のロレンソは金持ちの貴族ガマーシュと結婚させようとしていました。キトリはバジルとの結婚を認めてほしいと父ロレンソに何度も頼みますが、頑なに許そうとしませんでした。2人は駆け落ちを試み街を出ますが、ロレンソとガマーシュはすぐに2人を追いかけました。キトリをドゥルシネアと思いこんでるドンキホーテもサンチョと一緒に追いかけました。ドンキホーテはジプシーの野営地で2人に追いつきましたが、そこにあった風車を悪しき巨人だと思い込み風車に向かって突進しますが、跳ね飛ばされ気絶してしまいます。キューピットに導かれドゥルシネア姫と森の妖精が踊る夢を見ましたが意識が戻り、また2人を追いかけます。
一方キトルとバジルはロレンソとガマーシュに見つかってしまいます。バジルは自殺するふりをするという賭けにでて、最後の冥土の土産として結婚を許してほしいとキトリがロレンソに懇願しますが、許してくれません。それを見ていたドンキホーテはロレンソに説教し、さらには脅し、ロレンソはしぶしぶ2人の結婚を認めます。認めてもらった瞬間バジルは起き上がり、キトリと手と手を握ります。そして2人はめでたく結ばれるのです。そのころドンキホーテはドゥルシネア姫の幻影に導かれ、サンチョと共に新たな旅に出かけました。
■ドンキホーテの登場人物
ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャサンチョ・パンサ
ドゥルシネーア・デル・トボーソ(ドルシネア)
キトリ
バジル
ガマーシュ
ロレンソ
キューピット
■ドンキホーテのバリエーションと難易度
(1)第1幕
キトリのバリエーションの長さは1分弱と女性のバリエーションの中では短い踊りとなりますが、素早い動きに耐える強い体幹や連続回転のテクニックが必要になります。そのため難易度は高めで中級者向けになります。キトリのバリエーションは3つのパートに分かれています。第1パートではパ・ドゥ・シャから高く足を上げ回転しパ・ド・ブレで下がり、もう一度同じ動きを繰り返します。この時の回転は演出によって異なります。第2パートは背中をそって大きくジャンプした後にアチチュードのポーズを軽く決め、もう一度ジャンプをしたあとドゥバンに足を出し素早くロン・ド・ジャンプ・アン・レールをして一度ポーズ。最後に大きくジャンプをして舞台後方へ走っていきます。第3パートはキトリのバリエーションで大きな見せ場である連続回転があります。5番ポジションからピルエットを一回転ずつ連続して行いながら舞台を斜めに横断していきます。16~17回連続で回り、最後は2回転をしアチチュードで決めます。
(2)第2幕
第2幕では森の女王バリエーションとキューピットのバリエーション、ドルシネア姫のバリエーションがあります。森の女王のバリエーションはゆったりとした曲になるため、キープ力やバランス力が求められます。キューピットのバリエーションでは細かな足さばきと軽やかなジャンプの連続がありますが、難易度的には低くくキャラクター性の強い個性的な踊りでも親しまれています。ドルシネア姫のバリエーションはバランス・ジャンプ・回転など総合的なテクニックが必要とされるバリエーションで、ゆっくりとした音楽に合わせて1つ1つのポーズを止まるように意識することが重要とされています。
(3)第3幕
第3幕はキトリの結婚式でのバリエーションがあります。このバリエーションはセンスを持ってダイナミックにジャンプする振り付けが特徴で、めでたい明るいシーンなので元気に踊るのがポイントです。難易度は高くなく、ジャンプが得意な人やアクティブな踊りに挑戦したい方におすすめです。■最後に
いかがだったでしょうか?皆さんが想像していたストーリーと同じだったでしょうか。私が初めてドンキホーテを知った際は想像とは全く違く、ドンキホーテの行動や想像に笑わせてもらいました。キトリは活発で明るく、街の人気者でもあります。そのためバリエーションでは、キトリらしい一面が現れているので一度は見ていただきたいです。
バレエの中では珍しい喜劇にはなっているので是非ドンキホーテについて興味を持っていただけたら幸いです!