終幕のパ・ド・ドゥは必見!「オネーギン」の切ないストーリーとは|NOAバレエ教室

2022.03.18

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-はじめに

みなさんはバレエ作品「オネーギン」についてご存じですか?
音楽、衣装、振り付け共にドラマティックで名シーンも多く、
本当に美しい作品なんです!!!
今回はそんなオネーギンについて一緒に学んでいきましょう!


■ バレエ作品「オネーギン」とは 

原作はロシアの詩人、プーシキンの「エフゲニー・オネーギン」で、1820年代のロシアを舞台にしたオネーギンは1965年にシュツットガルト・バレエで初めて上演されました。
天才振付家ジョン・クランコによる"奇跡のドラマティック・バレエ"とも言われ、世界中のバレエダンサーが一度は踊ってみたいと夢見る作品です。
  

■ オネーギンはどんな物語?

(1) 登場人物

・タチヤーナ・・・田舎の地主であるラーリン家の令嬢
・オリガ・・・タチヤーナの妹
・レンスキー・・・オリガの婚約者
・オネーギン・・・レンスキーの親友、都会育ちの洗練された青年


(2) あらすじ

第一幕
舞台は19世紀前半のロシア。2人の未婚の令嬢がいるラーリン家では、「タチヤーナ」の誕生日に備えて衣装の準備に余念がありません。
文学を愛するタチヤーナが庭で本を読んでいると、妹の「オリガ」とその許婚である「レンスキー」が友人の「オネーギン」を連れてやって来ます。
タチヤーナの友人たちが、タチヤーナに鏡で将来の結婚相手を占うように言うと、そこにオネーギンがやってきて鏡を覗き込みます。
子供っぽさが残るタチヤーナは都会的で洗練された青年、オネーギンに恋をします。


夜、タチヤーナがオネーギンへの恋文を書きながら眠ってしまうと、夢の中にオネーギンが現れ、タチヤーナと踊ります。
夢から覚めたタチヤーナは乳母に手紙を託し、オネーギンに届けさせます。


第二幕
場面はタチヤーナの誕生日パーティ。大勢の客で賑わっているところにオネーギンもいました。オネーギンは純真なタチヤーナの手紙に苛立っていて冷たい態度を取ります。さらに手紙をタチヤーナの前で破り捨て、その上でオリガの関心を惹こうとします。
それを見たレンスキーは怒り、オネーギンに決闘を申し込みます。承諾してしまったオネーギンは、タチヤーナも見ている夜の公園で撃ち合いをし、レンスキーを殺してしまいます。


第三幕
数年後、親友を殺してしまったオネーギンは社交界に虚しさを感じ外国を放浪していたが、ようやく故郷のサンクトぺテルブルクに戻ってきます。
グレーミン侯爵家で久々にパーティに参加すると、グレーミン公の美しい婦人がタチヤーナであることを知ります。オネーギンはタチヤーナへの思いを手紙にしたため、屋敷を訪れます。
タチヤーナはオネーギンを愛していることを認めながらも、告白を断り、目の前で手紙を破き、立ち去るように命じます。


■ オネーギンの見どころ

オネーギンの見どころは、なんと言っても1幕と3幕で踊るタチヤーナとオネーギンのパ・ド・ドゥです。
1幕ではタチヤーナが夢の中で理想の姿のオネーギンと踊るので、幸せに満ちているパ・ド・ドゥなのに対し、3幕はタチヤーナが愛するオネーギンと決別する切なさが表現されたパ・ド・ドゥになっています。
1幕と3幕とで2人の感情や立場の違いが、踊りから見て取れる表現力が見どころです。
また、1幕のタチヤーナはあどけなさが残った夢見る少女ですが、3幕では成熟した大人の女性になっていて、衣装、表情、目線、仕草の違いにも注目です。


■ オネーギンで使われているバレエ音楽

実はオペラでもオネーギンという同名の作品があり、ワルツやポロネーズが有名なチャイコフスキーのオペラ曲「エフゲニー・オネーギン」がありますが、オペラの楽曲をバレエ作品で使用するのは前例がなかった為、ジョン・クランコはそのオペラ曲を使わず、チャイコフスキーの「四季」など様々な楽曲を編曲して用いることになりました。


-終わりに

いかがでしたでしょうか。なんとも切ないストーリー・・・
言葉がなくても心の声が聞こえてくるような表現力・振り付けなので、初めての方でも見やすい作品となっています。
バレエはもちろん、オペラや宝塚歌劇団によるミュージカルもあり、DVDも発売されています。
是非色んな映像を見て、いつかは舞台で見てみてくださいね!