バレエの金字塔『白鳥の湖』:物語のあらすじを解説!

2025.02.22

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◼︎はじめに

クラシック・バレエの中でも、最も人気の高い作品が『白鳥の湖』です!チャイコフスキーの美しく、一糸乱れぬ白鳥たちが待って踊る姿、そして白鳥オデットと黒鳥オディールを一人のバレリーナが演じ分ける趣向により、クラシック・バレエの代名詞となり、日本でも最も多く上演されているバレエ作品です!


◼︎第1章:物語の舞台と主要キャラクター

主要な登場キャラクターとその役割

・オデット(白鳥の姫):白鳥に姿を変えられた王女
・ジークフリート王子:オデットと恋に落ちる王子
・オディール(黒鳥の姫):ロットバルトの娘
・ロットバルト(魔法使い):オデットに呪いをかけた悪魔


◼︎ 第2章:あらすじをわかりやすく解説

(1)第1幕:王子の成人祝賀会 ドイツの城で、王子ジークフリートが成人式を祝っています。宮廷の人々のワルツ、王子の友人たちが踊るパ・ド・トロワなど、パーティーは華やかに進みます。女王(王子の母)が「明日の舞踏会でお嫁さんを決めなさい」と言いますが、王子は乗り気ではありません。そんなジークフリート王子を、友人たちは湖へと狩りに出ようと弓を手に湖に向かいます。


(2)第2幕:湖畔での出会い(オデットと王子の出会い)

夜憂鬱な気分で森に白鳥狩りに出掛けた王子がふと湖に目をやると、岸辺に一羽の白鳥が上がってきますが、その姿が白鳥から美しい女性へと変貌します。ジークフリート王子は驚きますが「オデット」と名乗るその女性は身の上を話し始めます。昼間は白鳥の姿であり、夜の間だけ人間に戻れるという魔法を、侍女たちとともにかけられてしまったオデット姫。また、魔法をかけた悪魔の名をロットハルトということを語ります。続けて、悪魔の呪いに勝つには、「生まれてからこの方、いまだに女性に愛を誓ったことのない男性に愛を誓ってもらう必要がある」ことが語られます。次第にオデットは心を開き、王子は明日の舞踏会に誘うことにします。そして、オデット姫に一目惚れしたジークフリート王子は、愛を誓おうとしますが夜明けを迎えてしまい、オデット姫は白鳥へと姿を変え、その場を飛び去ってしまうのでした。


(3)第3幕:舞踏会での誘惑と誤解

お城における豪華な舞踏会、ジークフリート王子はたくさんの花嫁候補に囲まれながらも、その気持ちはうわ空です。それはオデットを想い続けているのです。そこへ、ファンファーレが鳴り響き、客人を装った悪魔ロットバルトとその娘オディールが現れました。驚いたジークフリート王子は、急いでオデット姫へと近づき、オデット姫にかかった魔法を解くべく結婚の誓いを行います。しかしこのオデット姫、実は悪魔ロットハルトの娘であるオディールが、オデット姫に化けている姿なのでした。そして、オディールに愛の誓いを立ててしまうのでした。その途端、ロットバルトとオディールは正体を明かし、ジークフリート王子は騙されたことに気がつきます。高笑いの悪魔ロットハルトと、その娘オディールはその場を去ります。人生で初めての誓いをオデット姫以外のオディールに行なってしまったジークフリート王子は、がくぜんとしました。城の外には、王子が裏切ったと嘆き悲しむオデットの姿があり、ジークフリート王子は自らの間違いに絶望したが、急いでオデットのいる湖のほとりへと向かうのでした。


第4幕:悲劇的な結末と救済

オデットは王子の裏切りを嘆き悲しんでいます。オデット姫のもとへとやってくるジークフリート王子でしたが、オデット姫ではない相手に誓いを立ててしまったことをオデット姫に謝ります。オディットは彼を許しますが,彼女が人間に戻る望みは完全に断たれました。叶わぬ想いの2人は湖に身を投げ自ら命を断ってしまいます。
その後、真実の愛の力によって悪魔ロットバルトは滅び、オデットとジークフリート王子はあの世で結ばれるのでした。


◼︎第3章:『白鳥の湖』に込められたテーマとメッセージ

オデットが王子の愛を実感したからこそ、その愛を果たすため死を選び、王子も愛に殉じて、死という形であったにせよ呪いを解くことができた印象が残ります。

王子の葛藤とオデットの悲劇は、コインの裏と表のようです。いく層にも葛藤するジークフリート王子の心と人々のおもわくが交差する宮廷と魔界の境界となる湖の背景のようです。


◼︎第4章:世界での公演と有名な演出

-レイジンゲル版(ライジンガー版とも)-

ボリショイ劇場にて上演されましたが、主演予定のダンサーの解任なども相まって失敗作に終わったと言われています。

-マシュー・ボーン版-

1995年に上演されたマシュー・ボーン版の『白鳥の湖』は、男性同士の恋愛を描いたストーリーになっています。初演時には英国ロイヤルバレエ団のプリンシパルだったアダム・クーパーが白鳥(ザ・スワン)を務め、トニー賞ミュージカル主演男優賞にノミネートされるなど賞賛を浴び、日本でも5回ほど上演されています。

-ウラジーミル・ブルメイステル版-

ストーリーはプティパ、イワーノフ版が基となっていて人間のオデットが白鳥に変身させられる演出が加えられています。この演出は物語の始まりと結末を分かりやすく、しっかりと見せてくれるので見ている方々は物語に入り込むことができ納得感のある鑑賞ができます。


主演のオデット/オディール役を演じるのは、182cmというバレエ界の中でもとびぬけた高身長バレリーナである、韓国出身のイ・サンウン。ロシアのバレリーナのような美しいラインの持ち主で長い手足を駆使して、たおやかで情感あふれる白鳥オデット、32回転のグランフェッテも角度を変えていく超絶技巧で圧倒する黒鳥オディールと、世界トップクラスのパフォーマンスです。また本作の特徴の一つとして、主演バレリーナが一人二役をこなすことです。清楚な白鳥オデットと、王子を誘惑する妖艶な黒鳥オディールという、対照的な役柄の演じ分けが見どころです。


◼︎第5章:初心者におすすめの『白鳥の湖』鑑賞ポイント

第一幕と第二幕での印象的なシーン。

第一幕では王子の友人達によって力強くダイナミックなパ・ド・トロワが披露され、お祝いの場面では派手な衣装の道化による回転やジャンプなど技術的な見せ場が多くあります。第二幕の白いチュチュを着た白鳥たちの一糸乱れぬコール・ド・バレエは構図も美しく一番の見どころ鑑賞ポイントです。湖の場面で踊られる、この美しい群舞がバレエ芸術の最高峰といわれる理由でもあり、特に第2幕では、動きやタイミング、列など、すべてがぴったりとそろっており、一糸乱れぬ美しさがあります。


音楽(チャイコフスキー作曲)の聴きどころ。

『白鳥の湖』といえば、情景が最も有名でしょう。
第2幕の冒頭で演奏され、まるでこれから始まる悲劇を表しているかのような曲になってるので聴きどころです。


◼︎最後に

『白鳥の湖』はバレエ経験者であれば一度は見たことがある方が多い作品で
はないでしょうか。今回は『白鳥の湖』について魅力をお伝えしました!
またこれを機に『白鳥の湖』を鑑賞し、バレエだけではなく音楽にも是非注目してみてください!