■ バレエ作品「海賊」とは
(1)海賊とは
『海賊』は、1856年にパリで初演されたバレエ作品です。オリジナルの振り付けは『パキータ』の脚本で知られるジョセフ・マジリエですが、近年における舞台では1899年にマリウス・プティパにより振り付けられた改訂版をベースとすることが多くなっています。
(2)登場人物
主な登場人物は以下の通りです。・海賊の首領 コンラッド
・ギリシャの娘 メドゥーラ、ギュリナーラ
・コンラッドの部下 アリ
・コンラッドの手下・・・ビルバント
・奴隷商人 ランケデム
・トルコの総督 パシャ
■ 海賊のあらすじとバレエのみどころ
(1) 第1幕
舞台は、ギリシャに面した地中海のイオニア海。海賊たちを乗せた船が嵐で難破し、海辺に打ち上げられる。そこへギリシャの娘メドゥーラ(メドーラ)が通りかかり、友人のギュリナーラ(グリナーラ)と一緒に海賊たちを救い出す。メドゥーラは、海賊の首領コンラッドと一瞬にして恋に落ちる。
すると突然トルコ軍が乱入。メドゥーラ達は捕えられ、奴隷商人ランケデムに引き渡されてしまう。まず美しいギュリナーラが買われることに。メドゥーラが競売にかけられたとき、奴隷を買いにきた商人に変装した海賊たちが現れ、メドゥーラを高値で引き取ろうとします。しかし、トルコ総督が異変に気付いたため、海賊たちは正体を現します。海賊たちは、間一髪のところでメドゥーラと奴隷商人を連れて逃げることに成功します。
(2) 第2幕
海賊の洞窟で宴会が開かれる中、コンラッドの仲間ビルバントが奴隷商人ランケデムを味方に引き入れ、反乱を起こします。ビルバンドは睡眠薬をふりかけたバラを用意し、メドゥーラに届けました。罠とも知らずに、メドゥーラはコンラッドにバラを捧げ、コンラッドは眠りに落ちます。そこへ、ビルバンドや奴隷商人ランケデムが現れ、メドゥーラを奪って逃げました。騒ぎを聞きつけたアリが駆けつけましたが、すでにメドゥーラは連れ去られた後だった。
(3) 第3幕
ランケデムから奴隷としてメドゥーラ達を買ったトルコ総督のハーレムでは、美女たちが華麗に舞っていました。そこへ巡礼者を装った海賊コンラッドとアリが現れ、祈りを捧げるフリをしながら頃合いをみて正体を現します。乱闘の末、再びメド―ラとギュリナーラを助け出します。奴隷商人をこらしめた後、2人の美女とともに海賊コンラッドたちは再び海に漕ぎ出していきました。
■ メドーラのヴァリエーション
(1) ガムザッティ
ラ・バヤデールのガムザッティの曲を使用(2) 森の女王
ドン・キホーテ森の女王の曲を使用(3) パキータ
パキータの曲を使用
■ メドーラのバリエーションが多い理由
それはシンプルに言うと色んな振付家が、色んな時代に、色んな曲を使ったからなのです。どの曲を、どの幕に使おうと自由でダンサーの得意な踊りによって曲を決めていたということもあるそうです。
近年、幕物としての海賊が頻繁に上演されるようになるまでは、ガラ公演などで踊られることが多かったので、その中で振付や曲に変更が加えられていったようなのです。
どの曲であっても、「メドーラ」としての役を理解して踊ればよいですね。どれもメドーラのバリエーションであるのですから。
■ 衣装も色々ある?
衣装も色々あるのですが、クラシックチュチュタイプか、ジョーゼットのチュニックタイプの2種類が主流です。
-終わりに
海賊は、バレエ作品の中でも比較的分かりやすいストーリーと衣装やセットの豪華さ、ダンサーのキャラクターなどが、バレエに興味のない人にも届きやすい作品ではないかと思います。また、主役の二人だけでなく多くのダンサーにソロで踊る機会があることも魅力です。様々な役の踊りを楽しむ事ができる作品です。
バリエーションは検索すると素敵な動画もたくさんあるので参考にしやすいかと思います。実際に1つの作品を見るにはDVDもオススメです。
日本盤の海賊では熊川哲也さんの作品も有名ですね。
実際に会場で、生で観るのが一番ですがご自宅でゆっくりと鑑賞して見てもいいいのではないでしょうか。