-はじめに
クラシックバレエの父マリウス・プティパが作った最後の大作と言われる「ライモンダ」。今回はバレエ「ライモンダ」のあらすじや、主役のライモンダが踊るヴァリエーションについてご紹介します!■ ライモンダの登場人物
・ライモンダ:主役の娘。ドリス伯爵夫人の姪。
・ジャン・ド・ブリエンヌ:ライモンダの婚約者
・アブデラフマン:サラセンの王子
・アンドレ二世:ハンガリーの国王
■ ライモンダのあらすじ
第一幕
(第一場)舞台は中世ヨーロッパ、フランスのプロヴァンス地方、十字軍時代のお話です。物語は、伯爵夫人の姪でその美貌で有名なライモンダの誕生日パーティーから始まります。ライモンダの婚約者で十字軍の遠征を控えたジャン・ド・ブリエンヌがしばしの別れを惜しみつつライモンダへスカーフを贈ります。ライモンダは十字軍に遠征するジャンを見送りました。
(第二場)
ライモンダは彼を思いながら部屋で一人、リュートを弾いていると、そこへドリス邸の危機に現れるという「白い貴婦人」が現れ、ジャンの幻を見せます。
(第三場)
もうすぐジャンに会えると喜んでジャンの幻と踊っていると突然ジャンが消え去り見知らぬ男が現れライモンダに求愛します。白い貴婦人はたちまち消え去り、ライモンダは飛び起き、不吉な夢であったことに気づきます。
第二幕
城ではジャンの帰還を祝うパーティーが開かれていました。招待客がどんどんやってきますがジャンがなかなか到着しません。すると、サラセンの王子アブデラフマンが登場します。そこでライモンダは驚きます。彼の姿は、ライモンダが夢の中で見た見知らぬ男とそっくりだったのです。ライモンダは追い払おうとしましたが、アブデラフマンは熱烈に求愛してきます。そこへ帰還したジャンが婚約者を賭けて決闘を申し込みます。決闘の末ジャンが勝利し、アブデラフマンは死んでしまいました。
第三幕
ようやく結婚の準備が整った二人はアンドレ二世の前で結婚式を挙げます。若い二人の結婚が祝福され物語が終了します。
■ ライモンダのヴァリエーションと難易度
この作品では、主役のライモンダがなんと5曲ものヴァリエーションを踊ります。ガラ公演やコンクール、発表会などで一度は見たことがある方も多いのではないでしょか?たくさんあるライモンダのヴァリエーションですが、実はどのヴァリエーションも難易度が高いのです。それぞれのヴァリエーションをみていきましょう!
(1) 第1幕:ピチカートのヴァリエーション
第1幕の序盤、ライモンダが登場して早々に踊るのがピチカートのヴァリエーション。ヴァイオリンの弦を指で弾く奏法(ピチカート奏法)の曲で踊られることから通称ピチカートと呼ばれます。ライモンダの誕生日パーティーの場面での踊りなので音楽も可愛らしく、足元は細かいポワントワークが詰まっていますが上体の動きは華やかで、喜びがあふれるような振付になっていますね。
(2) 第1幕:ベールの踊り
名前の通り白いベールを手に持って踊るヴァリエーションです。「ラ・バヤデール」のニキヤのソロでもベールを使った踊りがありますが、「ラ・バヤデール」ではパートナーのソロルと二人で動かしながら踊ります。「ライモンダ」では一人でコントロールしながら踊らなくていけないので、「ラ・バヤデール」とはまた違った難しさがあります。
(3) 第1幕:夢の場
菅井円加さんがローザンヌ国際バレエコンクールで1位入賞した時に踊られたヴァリエーションで、ご存知の方も多いのではないでしょうか?ライモンダのヴァリエーションの中で技術的に一番難易度が高いと言われているのがこのヴァリエーションです。ゆったりとした音楽なので単調に踊ると退屈な踊りになってしまい、逆にアクセントをつけすぎてしまうと現実的になってしまうのです。また繊細なコントロールをしなくてはいけない所も難しいポイントです。
(4)第2幕:帰還の宴
ジャンが帰ってくるという嬉しさの中で踊るヴァリエーションです。さまざまな回転技が出てきたり、ポワントで立ったまま小さなジャンプで斜めに進んだり、テクニックが必要な踊りです。回転系のテクニックがたくさん出てくるのはこのヴァリエーションだけなので、見せ場ともなるヴァリエーションですね。
(5)第3幕:結婚式
グラン・パ・クラシックの中で踊られるハンガリー風のソロで、冒頭に手を打つ特徴的な振り付けがある事から通称「手打ちのヴァリエーション」とも呼ばれます。直前のジャンのヴァリエーションは明るい曲調なのに、ライモンダが出てくる瞬間にガラリと雰囲気が変わるこのヴァリエーション。振付自体はシンプルですが、シンプルだからこその難しさがあり、見せ方がとても大切な踊りです。■ ライモンダの衣装の特徴
ライモンダの舞台が中世フランスであることから、衣装の飾りはやや重圧で胸のカットも真っ直ぐなラインなものが多いです。また、上記でご紹介した通り5種類のヴァリエーションがあるのでそれぞれのシーンにあった衣装が必要になります。
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